海外赴任や留学、海外移住などで生活を始めると、日本と海外の間でお金を送る機会が増えてきます。
例えば、日本から生活費を送金したり、海外での家賃や学費を支払ったり、日本の住宅ローンやクレジットカードの引き落とし口座へ資金を戻したりと、海外送金が必要になる場面は少なくありません。
以前は銀行から海外送金する方法が一般的でしたが、近年はオンライン送金サービスの普及により、手数料や送金スピードを比較しながら自分に合った方法を選べるようになりました。
しかし、送金方法によって必要な手続きや費用、安全性は異なります。送金手数料だけを見て選ぶと、為替レートや中継銀行手数料などの影響で、想像以上にコストがかかることもあります。
この記事では、海外送金の基本的な仕組みや代表的な送金方法、送金前に知っておきたいポイントをわかりやすく解説します。
海外送金とは
海外送金とは、日本と海外、または海外同士で資金を送ることをいいます。
送金先は個人だけでなく、学校、企業、病院、不動産会社などさまざまです。
海外送金が必要になる主なケースには、次のようなものがあります。
- 海外赴任時の生活費
- 帯同家族への送金
- 留学先への学費や生活費
- 海外移住時の資金移動
- 日本にある住宅ローンや各種支払い
- 海外から日本への仕送り
- 不動産購入や賃貸契約時の支払い
送金額や送金頻度によって適したサービスは異なるため、目的に応じて選ぶことが大切です。
海外送金が必要になる場面
海外赴任・帯同
海外赴任では、新生活の準備にまとまった資金が必要になることがあります。
例えば、
- 賃貸住宅の保証金
- 家具・家電の購入
- 自動車購入費
- 子どもの学校関連費用
- 当面の生活費
などです。
また、日本に住宅や家族を残す場合は、日本国内への送金が必要になることもあります。
留学
留学生は、授業料や寮費、生活費などを海外へ送る機会があります。
学校によっては指定銀行への海外送金のみ受け付けている場合もあるため、送金方法や必要情報を事前に確認しておきましょう。
ワーキングホリデー
ワーキングホリデーでは、日本から渡航直後の生活費を送ったり、現地で貯めたお金を日本へ送金したりするケースがあります。
比較的少額の送金が多いため、手数料や為替レートを重視してサービスを選ぶと費用を抑えやすくなります。
海外移住
海外移住では、生活費だけでなく、日本との資金移動を継続的に行うケースもあります。
毎月送金する予定がある場合は、1回あたりの手数料だけでなく、年間の送金コストも比較しておくことが大切です。
海外送金の主な方法
海外送金には、大きく分けて3つの方法があります。
銀行送金
銀行口座から海外の銀行口座へ送金する方法です。
高額送金にも対応しており、企業間取引や学費の支払いなどでも広く利用されています。
一方で、送金手数料や中継銀行手数料が発生することがあり、コストが高くなる場合があります。
オンライン送金サービス
スマートフォンやパソコンから申し込める送金サービスです。
代表的なサービスにはWiseやRemitlyなどがあり、比較的手数料を抑えながら送金できる場合があります。
生活費や家族への送金など、日常的な利用にも向いています。
現金受け取り型サービス
銀行口座を利用せず、受取人が現地の窓口で現金を受け取る方法です。
急ぎの送金や銀行口座を持っていない相手への送金で利用されることがあります。
海外送金の仕組み
海外送金は、日本国内の銀行振込とは仕組みが異なります。
送金先の銀行と直接つながっていない場合は、「中継銀行(コルレス銀行)」を経由して送金されます。
送金の流れは次のようになります。
送金する銀行
↓
中継銀行(必要な場合)
↓
受取銀行
中継銀行を経由すると、その銀行で手数料が差し引かれることがあります。
そのため、「10万円送ったのに相手には少し少ない金額しか届かなかった」というケースも珍しくありません。
SWIFTコードとは
SWIFTコードとは、世界中の金融機関を識別するためのコードです。
海外送金では、送金先銀行を正確に指定するために使用されます。
送金前には、銀行名だけでなくSWIFTコードも必ず確認しましょう。
コードが間違っていると、送金の遅延や返金につながることがあります。
IBANとは
IBANは、主にヨーロッパで利用されている国際的な銀行口座番号です。
ヨーロッパへの送金では必要になることが多く、受取人から正しい番号を確認しておきましょう。
海外送金で発生する4つの手数料
海外送金では、「送金手数料」だけではなく、複数の費用が発生することがあります。
1. 送金手数料
送金サービスへ支払う基本料金です。
2. 為替手数料
日本円を外貨へ交換する際のコストです。
一見手数料が安く見えても、為替レートにコストが含まれている場合があります。
3. 中継銀行手数料
中継銀行を経由した際に差し引かれる費用です。
送金額から自動的に差し引かれることもあります。
4. 着金手数料
受取銀行で発生する費用です。
送金サービスによっては、受取人が負担する場合もあります。
送金方法を比較する際は、これら4つの費用を合計した「実際にかかるコスト」で判断することが大切です。
送金前に準備しておきたいもの
海外送金をスムーズに行うため、事前に次の情報を準備しておきましょう。
- 受取人の氏名(アルファベット表記)
- 受取銀行名
- 支店名
- 口座番号
- SWIFTコード
- IBAN(必要な国のみ)
- 送金する通貨
- 送金目的
- 本人確認書類
入力ミスがあると送金が遅れたり、返金手続きが必要になったりする場合があります。
送金前には、受取人から最新の口座情報を確認しておくことをおすすめします。
銀行送金の特徴
銀行送金は、海外送金の中でも最も一般的で信頼性の高い方法です。日本の銀行口座から海外の銀行口座へ直接送金できるため、高額な送金や法人との取引、学費の支払いなどにも利用されています。
海外赴任や留学で初めて海外送金をする場合、「まずは銀行を利用しよう」と考える方も多いでしょう。
銀行送金のメリット
銀行送金には、次のようなメリットがあります。
- 高額な送金にも対応しやすい
- 学校や企業などへの送金で指定されることが多い
- 金融機関を通じて手続きするため安心感がある
- 送金履歴を管理しやすい
住宅購入資金や留学費用など、まとまった金額を送る場合は銀行送金が適しているケースがあります。
銀行送金のデメリット
一方で、銀行送金には注意点もあります。
- 送金手数料が比較的高い
- 為替手数料が上乗せされる場合がある
- 中継銀行手数料が発生することがある
- 着金まで数営業日かかることがある
「送金手数料は安かったのに、受取金額が思ったより少なかった」というケースは、中継銀行手数料や為替レートが影響していることもあります。
送金前には、総額でどれくらい費用がかかるか確認しておきましょう。
Wiseの特徴
Wiseは、海外送金サービスの中でも利用者が多く、生活費や家族への送金などで活用されています。
特徴は、実際の為替レートに近いレートを採用していることです。
銀行では独自の為替レートが適用されることがありますが、Wiseでは送金前に手数料や受取予定額を確認しやすい仕組みになっています。
Wiseがおすすめな人
次のような方に向いています。
- 海外赴任で毎月生活費を送る
- 帯同家族へ定期的に送金する
- 留学中の生活費を送る
- 少額から中額の送金をする
- スマートフォンで手続きを完結したい
Wiseのメリット
- 手数料が比較的わかりやすい
- アプリで簡単に送金できる
- 送金状況を確認しやすい
- 少額送金にも利用しやすい
Wiseの注意点
利用できる国や送金方法は変更されることがあります。
また、送金限度額や本人確認の条件は、送金する国や金額によって異なるため、利用前に確認しておきましょう。
Western Unionの特徴
Western Unionは、世界各国に拠点を持つ国際送金サービスです。
銀行口座への送金だけでなく、受取人が窓口で現金を受け取れるサービスがあることも大きな特徴です。
Western Unionがおすすめな人
- 銀行口座を持っていない相手へ送金したい
- 急ぎで送金したい
- 現金で受け取ってほしい
メリット
- 世界各地に拠点がある
- 現金受け取りに対応している地域が多い
- 比較的早く送金できるケースがある
注意点
送金方法によっては手数料が高くなる場合があります。
また、受取方法や送金先の国によって利用条件が異なるため、事前に確認することが大切です。
Remitlyの特徴
Remitlyは、家族への送金や生活費の送金を目的としたオンライン送金サービスです。
アジアや中南米など、多くの国への送金に対応しています。
Remitlyがおすすめな人
- 海外に住む家族へ送金したい
- 送金スピードを重視したい
- スマートフォンから手続きしたい
メリット
- 操作がわかりやすい
- 送金状況を確認しやすい
- 国によっては短時間で着金する
注意点
送金スピードや手数料は、送金方法や送金先によって異なります。
国別の送金事情
アメリカ
アメリカでは、銀行送金のほかに国内送金サービスも広く利用されています。
生活費や家賃の支払いは銀行口座を利用するケースが多く、日本との資金移動では海外送金サービスを利用する人も少なくありません。
また、為替の変動によって受取金額が変わるため、レートを確認して送金することが重要です。
インド
インドでは、銀行口座を利用した送金が一般的です。
一方で、国内ではデジタル決済が急速に普及しており、銀行口座と連携した送金サービスを日常的に利用する人も多くいます。
日本から送金する場合は、送金目的や本人確認が必要になることがあります。
シンガポール
シンガポールは国際金融都市ということもあり、海外送金サービスの選択肢が豊富です。
海外赴任者も多いため、日本との資金移動を想定したサービスが利用しやすい環境といえます。
銀行だけでなくオンライン送金サービスも広く利用されています。
サービス比較表
海外送金サービスは、それぞれ得意な送金方法や利用シーンが異なります。手数料だけでなく、送金スピードや安全性、送金限度額なども比較し、自分に合ったサービスを選びましょう。
| 項目 | 銀行送金 | Wise | Western Union | Remitly |
|---|---|---|---|---|
| 手数料 | やや高め | 比較的安い | 方法による | 方法による |
| 為替レート | 銀行所定のレート | 実勢に近いレート | サービスによる | サービスによる |
| 送金スピード | 1~5営業日程度 | 数時間~2営業日程度 | 数分~数営業日 | 数分~数営業日 |
| 高額送金 | ◎ | ○ | △ | △ |
| 少額送金 | △ | ◎ | ○ | ◎ |
| 現金受取 | × | × | ○ | 国・地域による |
| スマートフォン対応 | △ | ◎ | ◎ | ◎ |
※手数料や送金可能額、対応国は変更されることがあります。利用前に最新情報を確認しましょう。
海外送金サービスの選び方
海外送金サービスを選ぶ際は、手数料だけで判断するのではなく、送金の目的や頻度に合わせて選ぶことが大切です。
高額送金なら銀行送金
住宅購入費用や留学費用、まとまった生活資金など、高額な送金を行う場合は銀行送金が安心です。
送金に時間がかかる場合がありますが、多くの金融機関や教育機関でも利用されており、信頼性が高い方法です。
毎月の生活費ならオンライン送金サービス
海外赴任や留学などで定期的に生活費を送る場合は、手数料や為替レートを比較しながら利用できるオンライン送金サービスが便利です。
毎月送金する場合は、1回あたり数百円の差でも年間では大きな節約につながります。
急ぎの送金なら現金受け取り対応サービス
銀行口座を持っていない相手や、急ぎで現金が必要な場合は、現金受け取りに対応したサービスが役立つことがあります。
ただし、送金方法によって手数料が異なるため、事前に確認しておきましょう。
海外送金で失敗しやすいポイント
海外送金では、入力ミスや確認不足によるトラブルも少なくありません。
口座情報を間違える
受取銀行名や口座番号、SWIFTコードなどに誤りがあると、送金が遅れたり、返金手続きが必要になったりする場合があります。
入力後は必ず受取人と内容を確認しましょう。
手数料だけで選んでしまう
送金手数料が安くても、為替レートにコストが含まれていることがあります。
「送金手数料」「為替レート」「中継銀行手数料」「着金手数料」を含めた総額で比較することが大切です。
着金日を確認していない
銀行送金は数営業日かかることがあります。
学費や家賃など支払期限が決まっている場合は、余裕を持って手続きを行いましょう。
本人確認書類が不足している
一定額以上の送金や初回利用時には、本人確認書類の提出が必要になることがあります。
パスポートやマイナンバーカードなど、必要書類を事前に準備しておくとスムーズです。
海外送金前チェックリスト
送金前に次の項目を確認すると、トラブルを防ぎやすくなります。
☐ 受取人の氏名(アルファベット表記)は正しいか
☐ 銀行名・支店名は正しいか
☐ 口座番号に誤りはないか
☐ SWIFTコードを確認したか
☐ IBAN(必要な国のみ)を確認したか
☐ 送金する通貨を確認したか
☐ 手数料の負担方法を確認したか
☐ 為替レートを確認したか
☐ 支払期限に間に合う日程か
☐ 本人確認書類を準備したか
初めて海外送金をする場合は、このチェックリストを活用すると安心です。
よくある質問
海外送金にはどれくらい時間がかかりますか?
送金方法や送金先によって異なりますが、数分で完了するサービスもあれば、銀行送金では数営業日かかることもあります。
一番安い海外送金方法はどれですか?
送金する国や金額によって異なります。
手数料だけでなく、為替レートやその他の費用も含めて比較することが重要です。
海外送金に上限はありますか?
サービスや国によって異なります。
また、高額送金では追加の本人確認や送金目的の確認を求められる場合があります。
日本から海外へ送金すると税金はかかりますか?
送金そのものに税金がかかるわけではありませんが、贈与や事業取引など、送金の内容によっては税務上の取り扱いが異なる場合があります。
不明な場合は税理士や金融機関へ相談しましょう。
海外から日本へ送金することもできますか?
はい、多くの銀行や送金サービスで海外から日本への送金にも対応しています。
利用できる通貨や送金方法はサービスによって異なります。
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まとめ
海外送金には、銀行送金やオンライン送金サービスなど、さまざまな方法があります。
高額送金には銀行送金、毎月の生活費や家族への送金にはオンライン送金サービス、急ぎの送金や現金受け取りが必要な場合には現金受け取り対応サービスなど、目的に応じて使い分けることが大切です。
また、送金方法を選ぶ際は、送金手数料だけでなく、為替レートや中継銀行手数料、着金までの日数なども含めて比較しましょう。
海外生活では、送金は一度だけではなく、何度も利用することがあります。自分に合った送金方法を見つけておくことで、余計なコストを抑えながら、安心して資金管理ができるようになります。

